セットバックとは?幅の計算方法と知っておきたい5つのポイント

土地・住宅の購入を検討している方の中には、不動産売買情報や広告に「セットバック」という文字を見たことがあるという方もいるのではないでしょうか。

「要セットバック」と記された土地は、建物を建てるにあたっていくつかの制限や注意点があります。何も知らずに要セットバックの土地を購入してしまい、「理想の建物を建築できなかった」という事態が起こることも否めません。

そこで今回は、セットバックの概要や幅の計算方法、さらにセットバックに関して知っておきたいポイントを5つ紹介します。土地や住宅の購入は人生において大きな買い物となるため、あらかじめ知識をつけておきましょう。

 

1.セットバックとは?

セットバックとは、英語で「後退」を意味する語であり、不動産業界・建設業界においては「建物の建築時に、土地と道路の境界線を後退させることを指します。「要セットバック」の土地や建物は、定められたルールに従って土地と道路の境界線を後退させなければなりません。

セットバックが必要となる基準は、「前面道路が道幅4m未満」です。建築基準法では、建物を建築する場合、原則として幅員4m以上の道路にその土地が2m以上接していなければならないという接道義務が定められています。

出典:e-Gov法令検索「昭和二十五年法律第二百一号 建築基準法」

しかし、接道義務が定められた以前の古い土地や住宅には、この規定を満たしていない建物も多く存在しています。

セットバックは、このように建築基準法に従っていない土地・建物の前面道路幅を確保するためにつくられたルールです。もう一つの目的としては、斜線制限の緩和も挙げられます。斜線制限を緩和できると、日当たりや通風を確保し、より高い建物を建てることが可能です。

 

1-1.例外的にセットバックが必要ないケース

建築基準法の接道義務では、建物を建てる場合、原則として幅員4m以上の道路にその土地が2m以上接していなければなりません。では、接道義務が定められる以前の古い土地は、すべてセットバックを行わなければならないのでしょうか。さらに、そこに建てられた住宅は現在では違反建築物にあたりますが、早急な建て替えが必要なのでしょうか。

結論から言うと、すべての土地・建物を今すぐにセットバックをしなければならないわけではありません。建築基準法第42条第2項では、通常であれば建築基準法に違反する道幅4m未満の道路でも、下記の条件を満たす場合は建築基準法上の道路として例外的に認められます。

  • (1)建築基準法が施工される以前から建築物があった
  • (2)知事や市長の指定を受けている

出典:e-Gov法令検索「昭和二十五年法律第二百一号 建築基準法」

上記のような道路は「みなし道路」「2項道路」と呼ばれており、早急なセットバックは必要ありません。しかし、「みなし道路」「2項道路」の土地に建物を建築する場合・もともとあった住宅を建て替える場合は、セットバックを行う必要があります。

 

2.セットバックの幅|2パターンの計算方法

セットバックをしなければならない幅の計算方法は、道路状況によって下記の2パターンに分けられます。

〇道路の反対側に建物などがあるパターン

道路を挟んだ向かい側に建物などがある場合は、両側それぞれの土地が道路の中央線から2mセットバックをしなければなりません。たとえば、前面道路幅が3mの場合、道路を挟むそれぞれの土地が50cmずつ中心線からセットバックを行って、4mの前面道路幅を確保します。

〇道路の反対側に川などがあるパターン

道路を挟んだ向かい側が、境界線を下げられない川などの場合は、建物を建てたい土地側に道路中心線から1mのセットバックを行って、4mの前面道路幅を確保しなければなりません。道路の反対側に建物などがあるパターンよりも範囲が広がる傾向にあり、それだけ土地も狭まります。

 

3.セットバックに関して知っておきたい5つのポイント

要セットバックの土地は比較的安く買えることが大きなメリットですが、前述の通りさまざまな制限があるため、さまざまな知識を得たうえで購入を検討することがおすすめです。

そこで次に、セットバックに関して知っておきたいポイントを5つ紹介します。要セットバックの土地の購入・住宅の建て替えも視野に入れているという方は、失敗しないためにも必ず参考にしてください。

 

3-1.セットバック部分は自由に使えない

セットバックで後退した部分の土地は、花壇にしたり塀や門をつくったりなど自由に使うことはできません。セットバック部分は私道ではなく公共の道路となるため、私的に使用することは不可能です。

なお、建ぺい率や容積率を計算する際も、セットバック部分は敷地面積から除外する必要があります。セットバック部分も含めて建ぺい率や容積率の計算をしても建築許可がおりないため、住宅を建てることができません。

 

3-2.土地購入時はセットバック部分の費用も支払う

セットバック部分は自由に使うことができなければ、建ぺい率・容積率の計算に含めることもできません。しかし、土地を購入するときはセットバック部分の費用も支払う必要があることに注意が必要です。

また、要セットバックの中古住宅を購入し、住宅リフォーム・建て替えを行う場合、セットバックをしなければならない部分に塀や門があれば、さらに解体・撤去費用がかかります。安くて数十万円、高くて数百万円の工事費用がかかる可能性もあるため、事前にきちんと確認しておきましょう。

なお、自治体によっては助成金・補助金を受けることも可能です。要セットバックの土地・住宅を購入する前には、セットバック部分の解体・撤去費用や助成金制度をチェックしておくことをおすすめします。

 

3-3.セットバックを拒否することはできない

せっかく購入した土地の一部を、私的に使用することができず、公共道路として使用されることに抵抗を感じる方も多いでしょう。しかし、セットバックを拒否することは不可能です。

建物は、建築前に法律に従った建物であることを市区町村に申請をして、許可を得なければなりません。セットバックを拒否している状態では、許可を得ることは当然不可能です。

建築許可を得ていなければ、建物を建てることができません。要するに、セットバックの義務を無視して住宅を建てること自体できないということとなります。

 

3-4.建て替え時にセットバックが必要なケースがある

すでに住宅の建てられている土地を購入する際は、接道義務が守られている土地であるかどうかの確認も必須です。ほとんどの場合「要セットバック」と記載があるものの、中には土地の価値が下がることをふまえて、あえて記載しなかったり強調しなかったりする悪質な業者も少なからずいるでしょう。

そのため、接道義務の知識をきちんと持って、自身でも土地の調査を欠かさず行うことがおすすめです。また、セットバックをなるべく行いたくないという方は、セットバック済の物件を探すことも得策と言えるでしょう。

 

3-5.セットバック部分の固定資産税は非課税となる

セットバック部分の土地は公道としてみなされ、私的に利用する権利は制限されます。そのため、セットバック部分の固定資産税は、セットバック面積にあわせて何割かが減額されます。

なお、固定資産税の免除を受けるためには、各自治体(役所)の担当課にて非課税申請手続きを行わなければなりません。土地を購入するときは、速やかに各自治体の建築指導課・道路管理課に問い合わせるなどして具体的な申請手順を確認してください。

 

まとめ

セットバックは、建築基準法に従っていない土地・建物の前面道路幅を確保するためにつくられたルールです。「要セットバック」の土地は、建物を建てるにあたってさまざまな制限があるため注意しなければなりません。

セットバックをなるべく避けるためには、セットバック済みの土地や住宅、あるいはセットバックの必要がない土地や住宅の購入がおすすめです。

建売住宅を購入する際は、ぜひ「グランディハウス」にご相談ください。グランディハウスでは、一人ひとりの予算や要望に適した建売住宅を提供しています。用地開発・設計・建築・暮らしそれぞれのプロも揃えており、各方面における豊富な知識をもって快適な家づくりを提案いたします。