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長期優良住宅のマンションとは|選び方やメリット・デメリットを解説

長期優良住宅は、長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅として認定された住宅です。数は多くないものの、長期優良住宅のマンションは一定数存在し、購入すれば長期的に性能のよい住宅に住めるでしょう。また、一部税金の減額などの優遇措置があり、金銭的にもお得です。

この記事では長期優良住宅のマンションについて、認定基準や入居するメリット・デメリットを解説します。また、長期優良住宅のマンションを探す方法も解説しているため、現在マンションへの入居を考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

1.長期優良住宅とは

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で住み続けるための措置が講じられた、性能が高い住宅のことです。長期優良住宅には、大きく分けて以下のような認定基準項目があります。

  • 住宅を長期に使用するための構造・設備を有している
  • 住戸面積が一定面積以上ある
  • 自然災害への配慮が講じられている
  • 住居環境などへの配慮が講じられている
  • 維持保全の期間や方法が定められている

住宅に対して上記のような措置を講じた上で、都道府県や市区町村の所管行政庁に認定申請を行えば、長期優良住宅として認められます。長期優良住宅として認定されれば、税の特例措置や保険料の割引など、さまざまなメリットを得ることが可能です。

長期優良住宅とは? 認定基準や認定メリットについて解説

2.マンションが長期優良住宅に認定される基準

長期優良住宅として認定されるのは一戸建てだけではありません。マンションの場合、以下の10個の基準を満たすことで、長期優良住宅の認定を受けられます。

条件 認定基準
劣化対策 劣化対策等級3かつ構造の種類に応じた基準+水セメント比を減ずるか、かぶり厚さを増す
耐震性

下記のいずれかに該当

  • 耐震等級(倒壊等防止)等級2
  • 耐震等級(倒壊等防止)等級1かつ安全限界時の層間変形が1/100以下
  • 耐震等級(倒壊等防止)等級1かつ各階の張り間方向およびけた行方向について所定の基準に適合する
  • 品確法に定める免震建築物
省エネルギー性 断熱等性能等級が等級5かつ一次エネルギー消費量等級が等級6
可変性 躯体天井高さ 2,650ミリメートル 以上
※認定対象住戸が区分所有住宅以外の共同住宅等である場合は、専用配管の設置が可能な床下空間そのほかの当該認定対象住戸の可変性の確保に有効な空間の高さを含む。
維持管理・更新の容易性 維持管理対策等級(専用配管)等級3
維持管理対策等級(共用配管)等級3かつ更新対策(共用排水管)等級3
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級(共用部分)等級3
住戸面積 40平方メートル以上
維持保全計画 建物・設備について定期的な点検・補修等に関する計画を策定
居住環境 地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の区域内にある場合は、これらの内容と調和を図る
災害配慮 災害発生のリスクのある地域においては、そのリスクの高さに応じて所管行政庁が定めた措置を講じる
※申請先の所管行政庁に確認すること

出典:国土交通省「認定制度概要パンフレット(分譲マンション版)」

それぞれの長期優良住宅認定基準の内容については、以下で詳しく解説します。

2-1.劣化対策

長期優良住宅には、劣化対策等級3が求められます。劣化対策等級3の住宅とは、以下のような基準を満たした、材料の劣化度合いが小さいまま3世帯以上耐久できる住宅です。

  • 外壁の軸組や土台・浴室などの防腐・防蟻措置
  • 地盤の防蟻措置
  • 基礎の高さが400ミリメートル以上
  • 床下の防湿・換気措置
  • 小屋裏の換気措置
  • 鉄筋コンクリートの腐食防止措置

住宅に使われている材料は、時間の経過とともに湿気や大気中の汚染物質などの影響を受け、次第に劣化します。劣化が進行すれば、住宅に継続して住み続けることが困難な状況になり、最終的には大規模な修繕もしくは建て替えが必要になります。

長期優良住宅の場合、住宅自体が長持ちするよう、材料の劣化軽減措置が講じられています。マンションで言えば、鉄筋が腐食しにくくするためにコンクリートの「かぶり厚さ」を確保するのは材料の劣化対策の1つです。かぶり厚さとはコンクリートの表面から鉄筋の表面までの距離であり、かぶり厚さを確保することで鉄筋の腐食が抑制されます。

2-2.耐震性

一般的な住宅においても、大地震によって構造躯体が崩壊・倒壊しない耐震性が求められています。しかし、大地震後も使用を継続できる程度に損傷・変形を抑制することまでは想定されていません。

長期優良住宅の場合は、大地震の際に人命を守るのに加え、大地震後も大規模な補修を行わなくとも継続的に住み続けられる耐震性が求められます。具体的には、耐震等級2であるか、もしくは耐震等級1に加えて一定の条件を満たすことが必要です。

耐震等級1 建築基準法上の最低耐震基準です。
  • 数百年に1度程度起こりうる、震度6~7程度の地震で倒壊しない
  • 数十年に1度発生起こりうる、震度5程度の地震で損傷しない
ことが求められます。
耐震等級2 耐震等級1で想定される地震の1.25倍の力でも倒壊しない耐震性を持ちます。

2-3.省エネルギー性

長期優良住宅には、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、住宅においてもエネルギー消費量を低減させる対策が求められています。

長期優良住宅に求められる省エネルギー性は「ZEH水準」が基準となります。ZEH(ゼッチ)は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略です。エネルギー効率の高い設備を導入して省エネを図るとともに、太陽光発電などによってエネルギーの収支をゼロ以下にする住宅のことを指します。

ZEH水準を満たすためには、冷暖房に余分なエネルギーを使わない高性能の断熱化や、エネルギー効率が高い設備の設置が必要です。

2-4.可変性

住宅を長く良好な状態で使用するには、間取りの変更を行うための可変性の確保が重要です。具体的には、躯体天井高さについて2,650ミリメートル以上の確保が求められます。

躯体天井高さとは、住戸空間の高さ方向のボリュームを規定するものです。特に共同住宅や長屋では、居住者のライフスタイルの変化などに応じて間取りの変更が可能であることが必要です。躯体天井高さが十分に確保されていれば、キッチンのレイアウト変更やバリアフリー化などの間取り変更が容易になります。

2-5.維持管理・更新の容易性

長期優良住宅には、耐用年数が短い部分の維持管理を容易にするための対策が求められます。住宅は、耐用期間が比較的長い部分と短い部分との組み合わせでできています。耐用年数が短い部分は、長い部分に比べて点検・清掃・補修などの維持管理が多く必要です。

長期優良住宅の場合は、給排水管や給湯管・ガス管の維持管理の容易さについて特に配慮した措置が必要です。例えば、配管をコンクリート内に埋め込まずに点検口を設ける対策を講じることで、配管の点検・更新を容易に行えます。

2-6.バリアフリー性

高齢者などが住宅を使用するために必要なバリアフリーは、長く使用される住宅が有するべき性能の1つです。長期優良住宅のマンションには、居住者の身体機能が低下した場合でもそのまま住み続けられ、介助者も介助しやすいよう、バリアフリー性の基準が設けられています。

マンションの場合は、エレベーターやエレベーターホール、階段といった共用部分のバリアフリー化が不可欠です。車いすを使用する人でも問題なく使用できるエレベーターやエレベーターホール、高齢者が移動しやすい寸法の階段や、段差の解消などが、長期優良住宅の条件です。

2-7.住戸面積

長期優良住宅には、良好な住居水準を確保するために必要な住戸面積を確保することが求められます。一戸建て住宅と共同住宅などでは最低限必要な住戸面積の基準が異なり、マンションの場合は階段部分を除いた1の階の床面積が1戸あたり40平方メートル必要です。

なお、地域の実情に応じて所管行政庁が別に住戸面積の基準を定めている場合は、代わりにその基準が適用されます。

2-8.維持保全計画

住宅を長く使用するには、計画的に点検を行い、劣化があれば早期に発見し、適切に補修・改修を行うことが大切です。よって、長期優良住宅には点検を計画的に行うための維持保全計画が定められています。

長期優良住宅の維持保全計画では、以下の部分・設備について定期的な点検・補修が必要です

  • 住宅の構造耐久上主要な部分
  • 給水または排水のための設備
  • 住宅の雨水の侵入を防ぐ部分

維持保全計画のスパンは点検部位などによって異なりますが、一般的には住宅建築から10年ごとに点検と補修を行います。点検や補修が適切に行われているかどうかは公的機関がチェックし、不適切な場合は長期優良住宅の認定が取り消されるケースもあります。

2-9.居住環境

長期優良住宅は、良好な景観の形成をはじめ、地域における住居環境の維持・向上への配慮が必要です。地区計画や景観計画、景観協定、建築協定などの区域内にある場合、これらの内容と調和を図らなければなりません。

例えば茨城県においては、居住環境に関する基準は以下のように定められています。

地区計画区域内における認定 定められた敷地・構造・建築設備・用途または形態意匠に適合することが必要です。
景観計画の区域内における認定
都市計画施設などの区域内における認定

長期にわたる立地が想定されることが許可などにより判明している場合を除き、指定された以下の区域内においては、長期優良住宅の認定は行われていません。

  • 都市計画法第4条第4項に規定する促進区域
  • 都市計画法第4条第6項に規定する都市計画施設の区域
  • 都市計画法第4条第7項に規定する市街地開発事業の区域
  • 都市計画法第4条第8項に規定する市街地開発事業等予定区域
  • 住宅地区改良法(昭和35年法律第84号)第8条第1項の告示があった日後における同法第2条第3項に規定する改良地区

出典:茨城県「居住環境の維持及び向上への配慮に関する基準」

2-10.災害配慮

2021年2月に追加された基準です。建物が災害発生のリスクがある地域に建っている場合は長期優良住宅の認定を受けられません。

例えば、茨城県では住宅が以下のような場所にある場合、長期優良住宅の認定の対象外となります。

  • 土砂災害特別警戒区域内
  • 災害危険区域内
  • 津波災害特別警戒区域内
  • 浸水被害防止区域内
  • 洪水浸水想定区域内
  • 雨水出水浸水想定区域内
  • 高潮浸水想定区域内
  • 土砂災害警戒区域内
  • 津波災害警戒区域内
  • そのほか自然災害のリスクが想定される区域内

出典:茨城県「審査項目について」

3.長期優良住宅のマンションに入居するメリット

長期優良住宅は国が普及を目指しています。耐震性や省エネルギー性が高く住宅自体が住みやすい点に加え、税金の優遇措置や住宅ローンの金利引き下げなど、さまざまな形で優遇されているのが大きなメリットです。

長期優良住宅認定マンションに入居することで得られる6つのメリットについて解説します。

長期優良住宅の減税制度とは?減税以外の優遇制度についても解説

3-1.住宅ローンの金利が引き下げられる

長期優良住宅を取得する場合、住宅ローンの金利が引き下げられる点が大きなメリットです。長期優良住宅では、全期間固定金利型住宅ローンであるフラット35Sやフラット50を利用可能になります。

フラット35Sおよびフラット50の内容は以下の通りです。

フラット35S

低金利で金利変動がなく安心感が高い住宅ローンです。フラット35Sはフラット35の一種であり、フラット35よりも金利が低く設定されています。

フラット35Sには金利Aプランと金利Bプランの2種類あり、金利Aプランの場合は当初5年間の借入金利が年0.5%引き下げとなります。

フラット50
一般的な住宅ローンの返済期間は最長35年ですが、フラット50は返済期間が最長50年となる点が最大の特徴です。フラット50は、返済期間中に住宅を売却する場合、購入者にローンの返済を引き継げます。

3-2.住宅ローン減税を受けられる

住宅ローン減税制度は、毎年の住宅ローン残高の一部を所得税から控除できる制度です。一般住宅取得の場合にも住宅ローン減税を受けられますが、長期優良住宅の場合は控除対象借入限度額や最大控除額の面で優遇されています。

住宅ローン減税の内容は、長期優良住宅への入居年が2023年以前か2024年以降かによって異なります。

【2023年以前に入居した場合】
  一般住宅 新築の長期優良住宅
控除対象借入限度額 3,000万円 5,000万円
控除期間 13年間
控除率 0.7%
最大控除額 273万円 455万円

出典:国土交通省「認定長期優良住宅に対する税の特例(所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税」

【2024~2025年に入居した場合】
  一般住宅 新築の長期優良住宅
控除対象借入限度額 2,000万円
(2024年以降建築確認を受けた住宅は0円)
4,500万円
控除期間 10年間 13年間
控除率 0.7%
最大控除額 140万円 409.5万円

出典:国土交通省「認定長期優良住宅に対する税の特例(所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税」

3-3.投資型減税制度の対象になる

投資型減税制度の対象になる

一般的な住宅の場合、住宅ローンを利用しなければ所得税の控除は受けられません。しかし長期優良住宅の場合、ローンを利用せずに現金取得すると投資型減税制度の対象となり、所得税控除を受けられます。

ただし、投資型減税制度で所得税の控除を受けられるのは1度きりであり、住宅ローン減税のように数年にわたって控除を受けられるものではありません。また、投資型減税制度の対象となるのは2023年12月31日までに長期優良住宅に入居した人に限られます。

投資型減税制度の控除対象限度額は650万円であり、控除率は標準的な性能強化費用相当額の10%、最大控除額は65万円です。

なお、長期優良住宅を現金取得した場合は投資型減税制度一択になりますが、住宅ローンを利用した場合は投資型減税制度と住宅ローン減税制度のいずれかを選択可能です。

3-4.登録免許税・不動産取得税・固定資産税が減額される

長期優良住宅を取得した場合、以下の3つの税金が減額されます。

登録免許税 住宅を新築した場合に必要な所有権保存登記や、中古住宅を購入したときに必要な所有権移転登記の手続きの際にかかる税金です。
不動産取得税 土地や建物の購入もしくは建設によって、不動産を取得した際にかかる税金のことを指します。
固定資産税 住宅や土地といった固定資産にかかる税金のことです。

登録免許税のうち所有権移転登記の税率は0.3%ですが、一戸建ての長期優良住宅であれば0.2%に、長期優良住宅のマンションであれば0.1%に優遇されています。また固定資産税の減税措置適用期間は通常1~3年間ですが、一戸建ての長期優良住宅は5年間まで、マンションであれば7年間まで延長される点がメリットの1つです。

3-5.地震保険料が安くなる

地震保険料は保険の対象住宅の構造や所在地によって決まり、建物の免震・耐震性能によっては割引制度の対象となります。長期優良住宅には高い耐震性があるため、地震保険料の割引を受けられる点が大きなメリットです。

地震保険料の割引率は住宅の耐震等級などによって変わりますが、長期優良住宅のマンションの場合、少なくとも10%の割引を受けられます。ただし、地震保険料の割引を受けるには所定の確認資料の提出が必要なため、割引の適用を希望する場合は必ず損害保険代理店または損害保険会社に確認してください。

3-6.容積率緩和制度の対象になる

容積率緩和制度は、2021年に新たに制度化されたものです。一定規模以上の敷地面積がある長期優良住宅のうち特定行政庁が許可したものについては、建築基準法の容積率制限の緩和を受けられます。

特定行政庁とは、建築行政の監督・取り扱いを行う行政機関で、建築主事(建築確認などに関する事務を行う職員)を置く市町村では市町村長を指します。建築主事を置かない市町村の場合は都道府県知事のことです。

容積率緩和を受けるには、交通・安全・防火・衛生上支障がない、長期優良住宅などの建築計画提出が条件です。また、建ぺい・容積率、高さについて配慮されており、市街地環境の整備改善に資すると認められる必要があります。

4.長期優良住宅マンションのデメリット

長期優良住宅のマンションには多くのメリットがある一方で、人によってはデメリットと感じる部分もゼロではありません。長期優良住宅のマンションに住みたい場合、メリットのみで決めず、デメリットも理解した上で総合的に判断することが大切です。

長期優良住宅のマンションに関してデメリットとなり得る部分を4つ紹介します。

4-1.定期的な修繕が必要になる

マンションなどの「区分所有住宅」では、管理組合の管理者などが一括して10年ごとに維持保全計画を実施する必要があります。維持保全計画に基づく点検の結果、必要があると判断された場合は修繕・改良を実施しなければなりません。

また、長期優良住宅は維持保全の基準が高く、一般住宅に比べて修繕積立金が高額になる傾向があります。ただし、維持保全に力を入れているからこそ良好な状態で長く住み続けられるのが長期優良住宅であり、一概にデメリットとは言い切れないのがポイントです。

4-2.物件価格が高くなりやすい

長期優良住宅は、質が高いぶん物件価格が高くなりやすい点がデメリットの1つと言えます。

長期優良住宅の認定を受けるには、建物の耐震等級を上げたり可変性を高めたりできるよう、追加の工事が必要です。長期優良住宅の認定要件を満たすための工事費は、1戸あたり約200万円アップするとも言われており、そのぶん住宅購入費用が高くなります。

出典:国土交通省「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」

ただし、長期優良住宅は購入費用が高いばかりではなく、必要な個所にきちんと費用をかけているぶん、長く快適に暮らせる長寿命住宅であるとも言えます。

4-3.税制優遇の期間が決まっている

長期優良住宅を取得すると税が控除される点が大きなメリットの1つです。しかし税制優遇はずっと続くわけではなく、期間が決められています。固定資産の減税で言えば、マンションが7年間、一戸建ては5年間です。

また、一般的なマンションは経年によって課税評価額が下がることが多いのに対し、長期優良住宅のマンションは耐久性が高く課税価格が下がりにくいという特徴があります。そのため、税制優遇の期間終了後に税負担を重く感じる人もいます。

4-4.長期優良住宅に認定されたマンションが少ない

そもそも長期優良住宅に認定されたマンションの物件数が少ない点も、デメリットの1つです。長期優良住宅に認定された共同住宅は累計で25,986戸、2021年新築の集合住宅のうち0.7%相当であり、割合としてはかなり少ないのが現状です。

出典:国土交通省「報道発表資料:長期優良住宅の認定状況について(令和4年3月末時点) - 国土交通省」

そのため長期優良住宅のマンションは競争率が高く、すぐに売り切れやすい傾向があります。長期優良住宅のマンションに住みたい人は、アンテナを張って積極的に探すとよいでしょう。

5.長期優良住宅マンションの探し方・選び方

長期優良住宅のマンションの数は少なく、住みたい地域によっては存在しないケースもあります。また、「長期優良住宅相当」と掲載されている住宅は、長期優良住宅としての各種優遇制度を受けられない可能性があるため注意が必要です。

一方、一戸建て住宅の場合、2021年時点で新築住宅のうち27.7%が長期優良住宅として認定されています。よって、マンションに必ずしもこだわらないのであれば、一戸建ての長期優良住宅を探すのが住宅の選び方としてはおすすめです。また、マンションであっても一一戸建てであっても、気になる長期優良住宅があれば早めに問い合わせるようにするとよいでしょう。

出典:国土交通省「報道発表資料:長期優良住宅の認定状況について(令和4年3月末時点) - 国土交通省」

なお、物件が長期優良住宅の認定要件を満たしているかは、パンフレットなどの物件情報からは分からないケースがあります。気になる場合は不動産会社に直接問い合わせてみてください。

6.長期優良住宅以外の省エネ住宅

長期優良住宅以外の省エネ住宅

長期優良住宅のマンションは数が少なく、住みたい物件が見つからない可能性があります。しかし、長期優良住宅のマンションが見つからない場合でも、省エネ住宅は減税措置などの対象となるためチェックするのがおすすめです。

省エネ住宅の場合、住宅ローン控除制度があり、新築であれば以下のような優遇を受けられます。

【新築住宅の場合の住宅ローン控除制度】
住宅の種類 居住年 借入限度額 控除率 控除期間
認定住宅※ 2022~2023年 5,000万円 0.7% 13年
2024~2025年 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 2022~2023年 4,500万円
2024~2025年 3,500万円
省エネ基準適合住宅 2022~2023年 4,000万円
2024~2025年 3,000万円

出典:財務省「令和4年度税制改正の大綱」

※認定住宅は長期優良住宅・認定低炭素住宅を指す

省エネ住宅には大きく分けて3つの種類があり、それぞれ住宅の特徴や、受けられる減税措置などの内容が異なります。

6-1.認定低炭素住宅

認定低炭素住宅とは、二酸化炭素排出量の低減対策が講じられた、環境に優しい住宅のことです。認定低炭素住宅の認定要件やメリットは以下の通りとなっています。住宅ローン控除においては、長期優良住宅と同等の優遇措置が受けられます。

認定低炭素住宅の認定要件
  • 省エネ基準を超える省エネ性能を備えている
  • 低炭素化促進のための対策が講じられている
  • 都市の低炭素化促進に関する基本方針に照らして適切である
  • 資金計画が適切である
認定低炭素住宅のメリット
  • エネルギー効率がよく維持費が軽減される
  • 補助金制度を利用できる可能性がある
認定低炭素住宅向けの優遇措置
  • 住宅ローン減税
  • 投資型減税
  • 所得税控除
  • 登録免許税の減額
  • 容積率緩和
  • フラット35Sを利用可能

なお、認定低炭素住宅の認定基準は2022年10月に変わり、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の搭載が必須になりました。

6-2.ZEH住宅

ZEH住宅とは、省エネ性能を上げるとともに太陽光発電などによってエネルギーをつくり、エネルギーの収支をゼロ以下にする住宅のことです。ZEH住宅の認定要件やメリットは以下の通りとなっています。

ZEH住宅の認定要件
  • ZET-M(1~3階建てのマンション)の場合、住棟全体で省エネ率20%以上、再エネを含む省エネ率100%以上を実現する
ZEH住宅のメリット
  • 光熱費の削減が期待できる
  • 売電収入が見込める
  • 非常電力を備えられる
  • 高く売却しやすい
  • 居住者がヒートショックを起こしにくい
ZEH住宅向けの優遇措置
  • 住宅ローン減税

ZEH住宅の認定要件はマンションのタイプなどによって異なるため注意が必要です。

6-3.省エネ基準適合住宅

省エネ基準適合住宅とは、建築物省エネ法で定められた基準をクリアした住宅のことです。省エネ基準適合住宅の認定要件やメリットは以下の通りとなっています。

省エネ基準適合住宅の認定要件
  • 断熱等性能等級4以上である
  • 一次エネルギー消費量等級4以上である
省エネ基準適合住宅のメリット
  • 光熱費の削減が期待できる
  • 省エネによって環境に貢献できる
  • 快適な住環境を保ちやすい
  • 補助金制度を利用できる可能性がある
省エネ基準適合住宅向けの優遇措置
  • 住宅ローン減税

なお、2025年以降はすべての建物が省エネ基準をクリアすることが義務付けられました。

まとめ

長期優良住宅の集合住宅には、一戸建ての長期優良住宅が満たすべき基準8つに加えて、可変性とバリアフリー性の基準が設けられています。長期優良住宅のマンションは、耐震性や省エネルギー性が高く、住みやすいほか、税制上の優遇や住宅ローンの金利引き下げなどの優遇を受けられる高品質の住宅です。

ただし、物件価格や修繕積立金が高くなりやすいほか、税制優遇の期間終了後に税負担が大きくなる点をデメリットに感じる人もいます。また、そもそも長期優良住宅に認定されたマンションの物件数が少なく、物件探しの難易度が高いのも難点です。マンションより物件数の多い一戸建ての住宅を探す、長期優良住宅以外の省エネ住宅に認定されたマンションも探す、といった形で、視野を広げて物件を探すとよいでしょう。

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