検索条件を保存しました。

検索条件は保存済みです。

  1. ホーム
  2. 住まいのお役立ち情報
  3. 住まいの基礎知識
  4. 長期優良住宅とは?認定基準や認定メリットについて解説

長期優良住宅とは?
認定基準や認定メリットについて解説

新築で家を建てようと考えている方の中には、「長期優良住宅」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。品質のよい住宅に長く住みたいと感じているのであれば、長期優良住宅がおすすめです。また、長期優良住宅は質が高いだけでなく、減税や住宅ローンの金利引き下げなど、多くのメリットがあります。

この記事では長期優良住宅の認定基準やメリット、および人によってはデメリットとなりうる部分を解説します。これから家を建てようと思っている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

1.長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは?

長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で住み続けられる措置が講じられた住宅のことです。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の中で、長期優良住宅は豊かな生活や持続的な経済発展に寄与するものとして位置づけされています。

この法律は、現在及び将来の国民の生活の基盤となる良質な住宅が建築され、及び長期にわたり良好な状態で使用されることが住生活の向上及び環境への負荷の低減を図る上で重要となっていることにかんがみ、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造及び設備について講じられた優良な住宅の普及を促進するため、国土交通大臣が策定する基本方針について定めるとともに、所管行政庁による長期優良住宅建築等計画の認定、当該認定を受けた長期優良住宅建築等計画に基づき建築及び維持保全が行われている住宅についての住宅性能評価に関する措置その他の措置を講じ、もって豊かな国民生活の実現と我が国の経済の持続的かつ健全な発展に寄与することを目的とする。

引用:e-gov法令検索「長期優良住宅の普及の促進に関する法律 第一条」引用日2023/5/25

長期優良住宅制度の認定を受けるには、主に5つの措置を講じる必要があります。

  1. 長期にわたって使用できる構造・設備がある
  2. 良好な景観や地域における居住環境などへの配慮が行われている
  3. 住戸面積が国土交通省令で定める規模以上ある
  4. 維持保全の期間や方法が定められている
  5. 自然災害に対する配慮がなされている

措置をすべて講じた上で、所管行政庁に認定申請を行った住宅が、長期優良住宅として認定される仕組みです。

2.長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅で講じるべき措置は、日本住宅性能表示基準にもとづく認定基準に沿って満たす必要があります。日本住宅性能表示基準とは、国土交通大臣が定める10の分野に区分された35項目の性能表示事項によって、住宅の性能を表示する指標です。

以下では長期優良住宅の認定基準の中でも、新築・戸建の場合に満たさなければならない基準を中心に解説します。なお、各小見出しでは下記のURLを出典としています。

出典:国土交通省「新築住宅の性能表示制度ガイド(令和5年4月1日施行版)」

出典:住宅性能表示・表示協会「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について〔令和5年4月発行〕」

2-1.劣化対策

長期優良住宅の劣化対策は、次の2点を満たす必要があります。

・劣化対策等級3

長期優良住宅として認定されるには、劣化対策等級3が必要です。劣化対策等級は日本住宅性能表示基準の1つで、住宅の柱・梁・壁といった構造躯体に劣化軽減対策が施されているかの評価です。等級1~3があり、長い耐用期間を確保できる対策が施された住宅ほど、等級の数字は大きくなります。

劣化対策等級の等級3は、通常想定される使用条件下において、構造躯体が3世代(おおむね75~90年)持つように対策が講じられた住宅への評価です。

・構造の種類に応じた基準を満たす

住宅構造の種類に応じて、下記の基準を満たす必要があります。

住宅構造 基準
木造住宅 床下点検口・小屋裏点検口の設置
床下有効空間の確保
鉄骨造住宅 構造躯体に使用する鋼材の厚さ区分に応じた防錆措置
もしくは木造と同等の措置
鉄筋コンクリート造住宅 水セメント比を低減
もしくはかぶり厚さを増加

2-2.耐震性

長期優良住宅の耐震性は、日本住宅性能表示基準の耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)における等級3が必要です。耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)とは、地震に対する構造躯体の倒壊・崩壊のしにくさを表す指標です。等級1~3があり、等級の数字が大きいほど倒壊・崩壊のしにくさは向上します。

等級3は、数百年に一回発生する地震の約1.5倍の力に対して、住宅が倒壊・崩壊がしない程度の強度です。なお、2022年以前は耐震等級3に加えて等級2も認められていたものの、2022年の法律改正時に基準の見直しが行われ、現在は等級3のみに引き上げられています。

2-3.省エネルギー性

省エネルギー性は、次の2点が基準となっています。

・断熱等性能等級5

断熱等性能等級は、外壁・窓による熱の損失を防止する措置など、住宅の断熱化対策についての評価です。断熱等性能等級5は、ZEHと同等の断熱性能が求められます。

・一次エネルギー消費量等級6

一次エネルギー消費量等級は、一年間に使用するエネルギー消費量が削減できる対策を評価するものです。一次エネルギー消費量等級6は、ZEHを上回るエネルギー消費量の削減が求められます。

従来は断熱等性能等級4のみで基準を満たせていたものの、省エネに必要な基準が見直されるようになり、現在はZEHに対応した2つの基準をともに満たす必要があります。

2-4.維持管理・更新の容易性

維持管理・更新の容易性の基準として、日本住宅性能表示基準の維持管理対策等級(専用配管)における等級3が必要です。

維持管理対策等級(専用配管)とは、戸建住宅の配管が維持管理しやすいかの評価です。等級1~3の3段階があり、等級3が最高等級となっています。等級3として評価されるには、下記の5点で基準に適合する必要があります。

  • コンクリート内に専用配管を埋設していない
  • 地中埋設管の上にコンクリートが打設されていない
  • 排水管の内側が平滑で、たわみや抜けが発生しないように設置されている
  • 排水管に掃除口、もしくは清掃可能なトラップを設けている
  • 主要接合部等や排水管の掃除口に、点検や掃除が可能な開口部を設置している

2-5.居住環境

居住環境の基準では、地域が定めた「居住環境の維持及び向上への配慮に関する基準」にもとづき、街並みに調和する住宅を建てることが求められています。

どのような基準かは所管行政庁ごとに異なるため、住宅を建てる地域の基準を調べましょう。例として、栃木県における「居住環境の維持及び向上への配慮に関する基準」を紹介します。

・地区計画等の区域内における取扱い

地区計画のうち、地区整備計画が定められている区域内で、地区計画中の建築物に関する事項に申請建築物が適合している

・景観計画の区域内における取扱い

景観計画の区域内で、景観計画中の建築物に関する事項に申請建築物が適合している

・都市計画施設等の区域内における取扱い

都市計画法で規定された区域内での申請ではない

栃木県では、住宅を建てる区域のルールに適合した場合に認定が行われます。

2-6.住戸面積

長期優良住宅の住戸面積は、戸建では75平方メートル以上が基準となります。加えて、階段部分を除く1つの階あたりの床面積は40平方メートル以上が必要です。75平方メートル以上の住戸面積は、国土交通省が定める一般型誘導居住面積水準における、2人世帯での面積水準に相当します。

なお、住戸面積は地域の実情に応じて引き上げおよび引き下げ(下限55平方メートル)ができるケースがあります。

2-7.維持保全計画

維持保全計画とは、住宅の定期的な点検・補修に関する計画のことです。長期優良住宅の認定を受けるには、着工前に下記の項目について維持保全計画を策定・申請する必要があります。

  • 住宅の構造躯体
  • 屋根や外壁、開口部といった雨水の浸入を防止する部分
  • 給水や排水に用いる配管設備

建築後は、維持保全計画の通りに住宅会社がメンテナンスを実施します。メンテナンスの際には、メンテナンス内容について記録を作成し、保存しなければなりません。

メンテナンスを実施した際は、所管行政庁に報告を求められる可能性もあります。

第十二条 所管行政庁は、認定計画実施者に対し、認定長期優良住宅の建築又は維持保全の状況について報告を求めることができる。

第二十一条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、その違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

引用:e-gov法令検索「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」引用日2023/5/25

虚偽の報告を行った場合の罰則も定められているため、長期優良住宅のオーナーは建築後も定期的なメンテナンスを行う必要があります。

2-8.災害配慮

災害配慮は、2022年の制度改定時に新設された基準です。土砂災害・津波・洪水などの災害リスクが高い区域における長期優良住宅の建築について、所管行政庁に認定を行う際の配慮を求めています。

例を挙げると、「土砂災害の危険性が特に高いエリアは認定を行わない」といったケースがあります。また、浸水のリスクがあるものの居住継続はできるエリアでは「浸水対策を措置として定める」というケースもあるでしょう。災害配慮の内容については国が示す基本的方針にもとづき、所管行政庁が災害配慮基準を作成・公表する仕組みとなっています。

2-9.【集合住宅の場合のみ】可変性・バリアフリー性

建物が集合住宅の場合は、新築・戸建の8つの基準に加えて「可変性・バリアフリー性」の2つが求められます。

・可変性の基準

可変性は、ライフスタイルの変化などがあった場合に、間取りの変更を行いやすくするための基準です。可変性の基準では、躯体天井の高さ2,650mm以上が求められます。

・バリアフリー性の基準

バリアフリー性は、将来に高齢者が居住するなどの場合に備えて、共用部分のバリアフリー化を求める基準です。

バリアフリー性の基準では、日本住宅性能表示基準における高齢者対策等級(共用部分)の等級3が必要です。共用廊下の幅員や階段の勾配を工夫したり、エレベーターを設置したりするなど、高齢者の移動と介助のしやすさに配慮した措置が求められます。

3.長期優良住宅のメリット

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅として認定された住宅は高品質な住環境となり、長く安心して暮らせます。さらに税制優遇や金利引き下げの措置もあり、金銭的にも多くのメリットを得られる点が特徴です。

長期優良住宅の金銭的な面でのメリットを3つ解説します。

3-1.さまざまな減税サービスを受けられる

長期優良住宅を購入すると、さまざまな減税サービスを受けられます。新築の長期優良住宅で受けられる減税サービスは、下記の5つです。

所得税
住宅ローン減税制度の対象となる借入限度額引き上げ 住宅ローン減税制度の対象となる借入限度額が、2022~2023年入居の場合は5,000万円、2024~2025年入居の場合は4,500万円まで引き上げられます(控除率0.7%・減税期間13年間)。
投資型減税制度 長期優良住宅の基準を満たすためにかかった費用のうち、10%が控除されます(上限650万円)。
登録免許税
登録免許税の税率が0.1%に減税されます(一般住宅は0.15%)。
不動産取得税
不動産取得税の控除額が1,300万円に引き上げられます(一般住宅は1,200万円)。
固定資産税
固定資産税の軽減期間が、一般住宅よりも2年間延長されます(戸建は5年、集合住宅は7年に延長)。

出典:国土交通省「長期優良住宅に係る支援制度」

減税サービスを利用すれば、高品質な長期優良住宅をお得に購入できるでしょう。

3-2.住宅ローンの金利が引き下げられる

長期優良住宅の住宅は、住宅金融支援機構が提供する「フラット35S(金利Aプラン)」や、「フラット50」を利用できます。

・フラット35(金利Aプラン)の特徴

フラット35Sは、フラット35を申し込んだ人が借入金利の一定期間引き下げを受けられる制度です。フラット35(金利Aプラン)では、金利引き下げ期間が当初10年間、金利引き下げ幅は年0.25%と設定されています。

出典:住宅金融支援機構「【フラット35】S:長期固定金利住宅ローン【フラット35】」

・フラット50の特徴

フラット50は、返済期間を最長50年まで設定できる全期間固定金利の住宅ローンです。フラット35よりも返済期間を長く設定できるため、年間の返済負担を抑えやすくなります。また、返済中に住宅を売却する際に、購入した方へフラット50の債務を引き継ぐことができる金利引継特約が付属しています。

出典:住宅金融支援機構「【フラット50】:長期固定金利住宅ローン【フラット35】」

フラット35S(金利Aプラン)やフラット50を利用すれば、住宅ローン金利を引き下げられたり、年間返済負担を抑えたりすることが可能です。

3-3.地震保険料が減額される

地震などによる建物・家財の損害を補償する地震保険は、さまざまな割引制度が用意されています。中でも耐震等級割引は、住宅の耐震等級にもとづく割引制度であり、耐震等級3であれば割引率は最大50%です。

長期優良住宅は耐震性の基準で耐震等級3が必要となるため、地震保険料を最大50%割引でき、大幅な減額ができます。

出典:日本損害保険協会「地震保険料の試算」

4.長期優良住宅のデメリット

長期優良住宅のデメリット

住宅が長期優良住宅に認定されると多くのメリットが得られるものの、人によってはデメリットと感じる要素もあります。長期優良住宅の購入を検討している方は、デメリットになり得る2つの要素についても把握しましょう。

4-1.認定を受けるために費用や時間がかかる

長期優良住宅は、認定を受けるために申請手数料がかかります。申請手数料の金額は所管行政庁によって異なるものの、自分で申請する場合は約5万~6万円、代理申請の場合は約20万~30万円が相場です。

また、認定申請を行う前には、登録住宅性能評価機関で建築計画などの技術的審査を受けなければなりません。審査を通過して、所管行政庁に認定申請書を提出した後に着工となるため、一般住宅を建てる場合よりも入居までにかかる時間が長くなります。

長期優良住宅を建てる際は、申請手続きにかかる費用や時間を計算した上で、余裕を持って建築できるかを確認することが大切です。

4-2.定期的に点検が必要になる

長期優良住宅を建築した後も、作成した維持保全計画に沿って点検・メンテナンスを行う必要があります。定期的な点検には手間や費用がかかり、修繕が必要となればさらにコストがかさむ点がデメリットです。

ただし、定期点検を行うと住宅の劣化防止や破損部分の早期発見につながり、長く快適に暮らせる住宅を保てます。住宅の大規模改修が必要になる時期を先延ばしにできると考えれば、費用面のメリットにもつながるでしょう。

まとめ

長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で住み続けられるよう、構造・設備や居住環境などへ配慮して作られた住宅です。長期優良住宅として認められるには、省エネルギー性・劣化対策・耐震性などの日本住宅性能表示基準にもとづく認定基準をクリアする必要があります。

家が長期優良住宅として認められた場合、減税サービスや住宅ローンの引き下げ、地震保険料の減額と言った優遇措置を受けられます。ただし、申請には一定の金額が必要となり、定期点検が必要になる点に注意しましょう。

会員だけの便利な機能を使って
サクサク住まいを探そう!

  1. 非公開物件が閲覧できる
  2. お気に入り保存・比較できる
  3. 検索条件が保存できる
  4. お役立ち資料をダウンロード
  5. 気になる物件のおトクな情報をメールでお知らせ
メールアドレスとパスワードを登録するだけでOK無料会員登録はこちら マイページ