建ぺい率とは?計算方法・容積率との関係から緩和措置・注意点まで

マイホームを手に入れるため土地を購入するときに、初めて「建ぺい率(建蔽率)」という言葉を聞いた・見たという方は少なからずいるのではないでしょうか。建ぺい率とは、「どれくらいの住宅が建てられるか」を示すものであり、土地購入時のチェック必須と言える項目の一つです。

マイホームが欲しいと考えて土地を探す方の中には、自分たちの間で理想の広さや間取りをある程度考えている方も多くいるでしょう。しかし、建ぺい率について知っておかなければ、購入後に理想の家を建てられなかったと後悔する可能性もあります。

そこで今回は、建ぺい率の概要や緩和措置を徹底的に解説します。建ぺい率と混合されがちな「容積率」についても説明するため、きちんと理想のマイホームを手に入れたいという方はぜひ参考にしてください。

 

1.建ぺい率(建蔽率)とは?計算方法と容積率との違い

建ぺい率(建蔽率)とは、「土地面積(敷地面積)に建てられる建物の面積」を示す指標です。建物の面積とは延べ床面積のことではなく、真上から建物を見たときの面積、いわゆる「建築面積」を指します。

たとえば、300平米の面積のある土地の建ぺい率が80%・60%の場合、建てられる住宅の建築面積は下記のようになります。

建ぺい率 300平米の土地に建てられる住宅の建築面積
80% 240平米
60% 180平米

建ぺい率の制限は、防災・景観などさまざまな観点から敷地内に一定の空間を確保するべく定められた建築基準法・都市計画法の規定です。具体的な割合は、各土地の種別に応じて定められています。定められた建ぺい率を超える住宅は、そもそも建築許可が下りないため建てることができません。

 

1-1.建ぺい率と混同されがちな容積率とは?

建ぺい率と混合されやすいものに、同じく建築基準法・都市計画法における重要な規定である「容積率」があります。容積率とは、「土地面積(敷地面積)に建てられる住宅の延べ床面積」を示す指標です。

たとえば、300平米の面積のある土地の容積率が50%・100%・150%の場合、建てられる住宅の面積は下記のようになります。

容積率 300平米の土地に建てられる住宅の述べ床面積
150% 450平米
100% 300平米
50% 150平米

容積率が50%など比較的小さな割合の場合は、平屋住宅が建てられるケースが多くあり、割合が大きくなるにつれて2階建て以上の住宅が建てられる傾向にあります。また容積率は、建ぺい率と比較して割合の上下幅が大きいことが特徴です。

 

1-2.建ぺい率と容積率は用途地域によって異なる

建ぺい率と容積率は、用途地域によって限度がそれぞれ定められています。そもそも用途地域とは、都市をある程度の用途に分けて、土地利用の方向性を定めたルールのことです。

下記は、国土交通省が定めている各用途地域(一部)の建ぺい率・容積率の例です。

用途地域 土地利用例 建ぺい率 容積率
第一種低層住居専用地域 低層住宅専用の地域 30%
40%
50%
60%
50%
60%
80%
100%
150%
200%
第二種低層住居専用地域 低層住宅専用の地域
(一定面積の小規模店舗も可)
第一種中高層住居専用地域 中高層住宅専用の地域 100%
150%
200%
300%
400%
500%
第二種中高層住居専用地域 中高層住宅専用の地域
(一定面積の利便施設も可)
第一種住居地域 住宅専用の地域
(一定面積の店舗・事務所・ホテルも可)
50%
60%
80%
第二種住居地域 住宅専用の地域
(一定面積の店舗・事務所・ホテル・カラオケボックスも可)
田園住居地域 農地・農業関連施設と調和した低層住宅専用の地域 30%
40%
50%
60%
50%
60%
80%
100%
150%
200%

出典:国土交通省「みらいに向けたまちづくりのために-都市計画の土地利用計画制度の仕組み-」

検討している土地がどの用途地域にあたるのかは、各自治体の都市計画課に問い合わせると確認できます。

 

2.建ぺい率・容積率の緩和措置|広い家を建てるためには?

土地がどれだけ広くても、建ぺい率・容積率の制限の割合が大きければ、当然それほど大きな住宅を建てることはできません。

定められた建ぺい率・容積率を守りながら、なるべく広く見えるような家を建てたり、土地を有効に活用するためには、建ぺい率・容積率の緩和措置を上手に活用することがおすすめです。

ここからは、緩和措置を上手に活用しながら広く見える家を建てるコツを紹介します。

 

2-1.角地の建物

建ぺい率に関する特例では、「特定行政庁が指定する地域の角地にある建物は、建ぺい率を10%緩和する」とされています。

つまり、建ぺい率が70%と定められていても、特定行政庁が指定している地域の角地であれば80%までの面積の建物を建てられるということです。

 

2-2.耐火建築物・延焼防止建築物

近年では、老朽化した木造住宅の増加に伴い、安全性向上に向けてさまざまな施策が打ち出されています。防火地域において、耐火・延焼防止性能の高い建築物の建ぺい率を10%緩和させる措置も、その施策の一つです。

出典:国土交通省「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)について」

なお、特定行政庁が指定する地域の角地にある耐火建築物・延焼防止建築物は、合計で20%の緩和措置を受けられます。

 

2-3.地下

住宅に地下室をつくる場合、建物全体の3分の1までは容積率に含めなくても良いというルールが定められています。

そのため、たとえば容積率が50%と定められている300平米の土地に住宅を建てる場合、最大100平米の地下室を導入することが可能です。

緩和条件はそれぞれの住宅で異なる可能性が高いため、条件詳細は各自治体・業者にまず確認しましょう。

 

2-4.車庫・駐輪場

住宅の1階部分に車庫(ガレージ・カーポート)や駐輪場をつくる場合、下記4つの条件をすべて満たすことで、建築面積の5分の1までは建ぺい率に含めなくても良いという緩和措置を受けられます。

  • 外壁のない部分が連続して4メートル以上ある
  • 柱の間隔が2メートル以上である
  • 天井の高さが2.1メートル以上である
  • 地階を除く階数が1である

つまり、「柱の間隔が2メートル以上で、屋根が2.1メートル以上の平屋住宅の車庫」であれば、建ぺい率の緩和対象となります。

 

2-5.バルコニー・ベランダ

バルコニー・ベランダの場合、建物の外壁部分から突出した部分の長さが1メートル以内であれば、建築面積として含まれません。

正確には建ぺい率の緩和条件ではないものの、1メートル以内の突出が建築面積に算入されないことを活用して、部屋の面積を広くする方法も有効です。

 

2-6.ロフト・屋根裏

住宅にロフト・屋根裏部屋をつくる場合、下記の条件をすべて満たすことで容積率の緩和措置を受けることができます。

  • ロフト・屋根裏部屋がある階の延べ床面積に対して2分の1である
  • 天井の高さが1.4m以下である
  • 固定のはしごが存在しない

地下室と同様、ロフト・屋根裏部屋をつくると物置小屋などの収納スペースとして活用でき、他の部屋をすっきり見せられるでしょう。

 

2-7.吹き抜け

吹き抜けとは、上下階をまたぐ天井のない、つながった空間のことです。厳密には、建ぺい率・容積率の緩和措置や住宅内のスペース確保につながる方法ではありませんが、お部屋を広く、開放的に見せることができます。

吹き抜け上階に窓をつくることで、採光効果を最大限に得られ、日中は窓からの光でも十分な明るさを確保できます。さらにリビング階段をつければ、より開放的かつ明るい空間が住まい全体に生まれるでしょう。

 

3.建ぺい率・容積率だけでなく「斜線制限」にも注意が必要!

建物の大きさが決まる要素は、建ぺい率と容積率だけではありません。土地探しの際は、「斜線制限」にも気を付けておきましょう。

斜線制限とは、主に建物の高さを規制するためのルールであり、さらに細かく「道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限」の3つに分けられます。

道路斜線制限 前面道路の採光・通風を確保するための制限・ルール
隣地斜線制限 隣り合う敷地の採光・通風を確保するための制限・ルール
北側斜線制限 北側隣地の採光・通風を確保するための制限・ルール

前述の通り、建ぺい率と容積率以外にも斜線制限などといったさまざまな建築制限に気を付けなければ違法建築物とみなされる可能性が高いため、制限に関するルールや知識をきちんと身に付けておきましょう。

 

まとめ

ここまで、建ぺい率と容積率の概要から一部用途地域ごとの建ぺい率・容積率、さらに建ぺい率・容積率の緩和措置やそれ以外の各制限まで詳しく解説しました。

広い土地だからと言って、大きな住宅を建てられるわけではありません。理想の家づくりをしたいのであれば、なるべく土地探しを始める時点で建ぺい率・容積率を含む各法律や知識を身に付けることをおすすめします。

また、建ぺい率・容積率は住宅地域ごとにそれぞれ上限が異なり、一定の条件を満たすことで緩和措置を受けられます。緩和措置を受けられる条件も項目により細かく定められているため、わからないことがあれば各自治体や不動産業者に確認しましょう。