注文住宅は、自分たちのこだわりを存分に取り入れることが最大の魅力ですが、「費用が高い」という難点を感じている人も多いでしょう。実際に、注文住宅の取得費用はほかの住宅種別と比較して高いというデータもあります。
しかし、「注文住宅=高い」という漠然としたイメージは、間違いといっても過言ではありません。自由度が高いからこそ、予算内に費用を抑えることも十分に可能です。
今回は、注文住宅の平均的な予算から、予算別の建てられる注文住宅の目安、注文住宅にかける予算の決め方まで詳しく解説します。自分たち家族にとってベストな予算を知ったうえで、注文住宅を建てたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1.注文住宅の平均的な予算
国土交通省が発表した「住宅市場動向調査」の資料によると、全国の注文住宅の平均的な予算は4,606万円でした。内訳は、下記の通りです。
住宅建築資金 | 3,168万円 |
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土地購入資金 | 1,545万円 |
注文住宅の平均総予算のうち、約7割が住宅建築資金となっていることがわかります。なお、住宅建築資金はその名の通り住宅を建築するための費用であり、土地購入資金は土地を購入するための費用のことです。
住宅建築資金 | 本体工事費・別途工事費 など |
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土地購入資金 | 土地代・諸費用 など |
また、住宅購入は単純に土地代・建物代だけを支払えばよいというわけではありません。その他にも、住宅ローンを借りた際のローン事務手数料や保証料、司法書士に各登記手続きを依頼した際の司法書士報酬などの諸費用が発生することを覚えておきましょう。
2.【予算別】建てられる注文住宅の目安
「注文住宅は高い」というイメージを抱く人も多くいますが、高くなる理由は「自由度が高いため、ついこだわりを多く取り入れてしまうため」です。しかし、反対にこだわりを多く取り入れなければ建築費をコントロールすることもできます。
近年では、各住宅会社・ハウスメーカーからさまざまな価格帯の住宅商品が用意されています。低い価格帯でも高性能なものが多くあるため、前述した平均よりも低い予算で検討していても、十分に高性能な注文住宅を建てることができるでしょう。
ここからは、建築予算ごと(1,000万円・2,000万円・3,000万円台)にそれぞれどのような注文住宅を建てられるのか、詳しく説明します。
2-1.1,000万円台
予算が1,000万円台の場合は、凹凸が少ないシンプルなつくりをした注文住宅を建てることができます。
基本的に1階と2階とで住宅の形状が異なる場合は、外観の形も左右されるケースが多々あります。外観が凹凸の多い形となるとそれだけ外壁材や屋根材が必要となるため、材料費がかさむことが特徴です。また内部の構造も複雑化することから、総合的な建築費が膨れ上がる可能性もあります。
しかし、1階と2階とで統一した形状で建築する場合は多くの材料を要さず、また工事内容もシンプルとなることが多いため、それだけでも十分に建築費を抑えることが可能です。こだわりを存分に取り入れた注文住宅と比較して完成が早いことも魅力です。
ただしコスト重視となるため、思い思いのこだわりを存分に取り入れることはできないことに注意しておきましょう。
2-2.2,000万円台
予算が2,000万円台の場合は、1,000万円台の予算で注文住宅を建築するより比較的グレードを上げることが可能です。例えば1,000万円台の予算で注文住宅を建築できる土地と同じ条件の土地で家を建てる場合は、外壁をタイル仕上げにする・浴室に最新の設備や機能を導入するなど、予算配分を工夫することで機能性の高い住宅をつくることができます。
しかし、こだわりを取り入れすぎると比較的早い段階でオーバーしてしまいがちな予算であることも覚えておきましょう。考えているすべてのこだわりを取り入れることは不可能なため、なるべくこだわりに優先順位をつけて取捨選択をしながら家づくりを行うことがポイントです。
2-3. 3,000万円台
予算が3,000万円台の場合は、基本的に多くのこだわりを取り入れた注文住宅を建てられます。平均的な床面積・グレードの家を建てられる、いわゆる「基準」の価格帯といえるでしょう。
3,000万円台の予算で家を建てたい場合は、予算をかける部分・コストを抑える部分をしっかり考えて、こだわりの取捨選択を行うことが最も重要です。「間取りは絶対にこれがいいけど、広さや最新機能・住宅設備は特にいらない」など、さほどこだわりがない人の場合は、こだわりをすべて取り入れることもできるでしょう。
また、予算3,000万円台の注文住宅は予算2,000万円台の注文住宅よりも取捨選択の幅が広がることから、プラン決定までに長い期間を要するケースが多いことも特徴です。実際に住み始めたあとの生活を忠実にイメージしたうえで、予算内でできる最善の方法を検討することをおすすめします。
3.注文住宅にかける予算の決め方
注文住宅を建てる際に予算オーバーをしないためには、毎月の返済金額などを踏まえて資金計画を十分に立てることが大切です。注文住宅にかける予算は、下記の順番で適切な額を決めましょう。
STEP1 | 自己資金をいくら出せるのか考える |
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STEP2 | 年収と返済負担率から返済金額を確認する |
STEP3 | 土地と建物の費用バランスを検討する |
ここからは、各ステップについて詳しく解説します。
3-1.STEP1:自己資金をいくら出せるのか考える
多くの人は住宅ローンを借りて住宅を購入しますが、住宅ローンを借りたからといって住宅取得にかかわるすべての費用をまかなえるわけではありません。契約時や入居時に現金で支払わなければならない費用項目(手付金・引越し関連費用・諸費用など)もあるため、余裕をもって自己資金を準備しておき、どれほどの自己資金を出せるか決めておくことが重要です。
注文住宅の建築に使う自己資金は、教育費や治療・介護費用など、将来に向けて残しておくべき資金を差し引いて考えましょう。残しておくべき資金を差し引いた額が、注文住宅の新築に出せる自己資金となります。
自己資金が多ければ多いほど、設定できる予算額も上がるでしょう。
3-2.STEP2:年収と返済負担率から返済金額を確認する
自己資金をいくら出せるか考えたあとは、年収と返済負担率から住宅ローンの返済金額を確認しましょう。住宅ローンの返済金額を把握することは、住宅ローンの借入限度額を把握することにもつながります。
「これくらいの年収で最大どれほどの住宅ローンを借りられるのか」と考える人も多くいますが、安定して住宅ローンを返済するためには返済負担率に着目することが重要です。一般的に、無理のない住宅ローンの年間返済負担率は年収の20~25%以内といわれています。
下記は、年間返済負担率25%で算出した年収別の住宅ローン借入限度額です。毎月の返済額・総返済額とあわせて紹介します。
年収 | 借入限度額 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
---|---|---|---|
400万円 | 29,520,000円 | 83,330円 | 34,998,722円 |
500万円 | 36,900,000円 | 104,163円 | 43,748,427円 |
600万円 | 44,280,000円 | 124,996円 | 52,498,129円 |
※元利均等方式、固定金利1%、返済期間35年の場合
年収500万円の場合の借入限度額は36,900,000円ですが、住宅ローンは利息を支払う必要があるため総返済額は43,748,427円となります。借入限度額だけを見るのではなく、最終的な総返済額も確認したうえで住宅ローン借入額を決めましょう。
3-3.STEP3:土地と建物の費用バランスを検討する
注文住宅の購入予算を決める際は、漠然と「〇万円」と考えるのではなく、土地と建物の費用バランスを検討したうえで各項目の予算も決めておきましょう。
土地の購入にかかる費用と建物の建築工事にかかる費用のバランスは、「3:7」程度で考えることがおすすめです。
■土地と建物の費用バランス例
土地の購入費用 | 総費用の20~30% |
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建物の建設費用 | 総費用の70~80% |
よくある失敗例が、「土地の立地や面積にこだわりすぎて、こだわりを存分に取り入れた住宅の建築費用が圧迫された」という例です。土地・建物にそれぞれどれくらいの予算をかけるかをあらかじめ決めておくことで、よい具合にこだわりを分散できた家づくりが叶うでしょう。
4.自分たち家族にベストな予算は?
どれくらいの予算がベストとなるかは、「何を重視するのか」によって大きく異なります。最後に、各ケースの適切な予算を紹介します。
〇建物にとことんこだわりたい場合
注文住宅を取得する人の多くは、「建物(外装・内装)にとことんこだわりたい」と考えるでしょう。しかし、建築費は住宅購入総費用の大部分を占めるため、こだわりを存分に取り入れたいのであれば予算は最低でも3,000万円以上と考えておく必要があります。
〇家の立地を重視する場合
治安や最寄り駅、生活の便利さなど立地を重視する場合は、「土地購入にかけられる予算」を多めに設定する必要があります。土地の購入にかかる費用と建物の建築費用の一般的なバランスは3:7ですが、この場合は5:5となることもあるでしょう。住宅そのものはシンプルなつくりにするなど、建築費用をなるべく抑える必要があることに注意してください。
〇できるだけ予算を安く抑えたい場合
なるべく安い予算で住宅を建てたいという場合の予算は、1,000万円台で考えておくことがベストです。しかし、1,000万円台の注文住宅となると捨てなければならないこだわりがほとんどとなってしまうでしょう。そのため、注文住宅ではなく分譲住宅の購入も選択肢に入れることをおすすめします。
マイホームの購入は、「一生に一度の買い物」ともいわれています。予算を抑えて注文住宅を建てるのもよいですが、近年の新築分譲住宅は比較的安く、機能性の高い設備を導入していることも多々あります。注文住宅だけに着目せず、分譲住宅を含めた広い視野での住宅購入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
注文住宅の平均的な予算は、4,606万円です。そのうち約7割が住宅建築資金で、3割が土地購入資金となります。
「注文住宅=高い」というイメージをもつ人も多くいますが、注文住宅は予算1,000万円台からでも当然建てることは可能です。しかし、予算が低ければ低いほどこだわりを捨てなければならないことも注意しておきましょう。
長く住み続けられる家づくりを行いたいのであれば、注文住宅だけではなく分譲住宅を含めた広い視野で住宅購入を検討することがおすすめです。グランディハウスでは、土地開発・建物設計・建築、引き渡し後の対応まで一貫したサポート体制で家づくりをお手伝いしております。予算内での「長く住める住まいづくり」を行いたい人は、ぜひグランディハウスにご相談ください。